いじめられたら、親がすることは5つだけ
いじめられたら、親がすることは5つだけ
── 子供にできることは、何もありません
まず、はっきり言います。
いじめで大切なのは、親の行動です。子供の行動ではありません。
「やり返しなさい」「強くなりなさい」「先生に相談しなさい」「話し合ってきなさい」。どれも、子供に無理な仕事を押しつけているだけです。子供には、権限がありません。予算もありません。逃げる手段も、法律の知識も、交渉する立場もありません。何も持っていない人間に「自分で解決しなさい」と言うのは、指導ではなく、放置です。
そして、もうひとつ。
環境の改善は、無理です。
加害者は、変わりません。担任が変わっても、指導が入っても、学級会を開いても、中心にいる子は変わりません。学校が「解決しました」と言うとき、たいてい何も解決していません。ただ、表面が静かになるだけです。そして、静かになった分だけ、やり方が巧妙になります。
期待するだけ、時間の無駄です。その時間で、子供は削られていきます。
だから、親がやることは、5つだけです。
1. 転校する
これが、いちばんの近道です。
「逃げること」だと思われがちですが、違います。環境を変えることが、唯一、確実に効く方法だからです。
大人の世界を考えてください。ハラスメントのある職場に居続けて、状況が良くなったという話を、どれだけ聞きますか。ほとんどの人は、転職して解決しています。子供だけが「同じ場所で耐えなさい」と言われる理由は、どこにもありません。
公立小中学校でも、いじめを理由にした学区外への転校(区域外就学・指定校変更)は、制度として認められています。自治体によって手続きは違うので、教育委員会に直接確認してください。学校に相談すると止められることがありますが、最終的な窓口は教育委員会です。
迷っている時間が、いちばん高くつきます。
2. 学校を休ませる
転校の手続きには、時間がかかります。その間、行かせないでください。
欠席は、進学に不利になりません。中学校の欠席日数を理由に、行ける高校がなくなることはありません。多くの親が心配しますが、実際に子供を壊すのは、欠席日数ではなく、通い続けたことの方です。
そして、これがいちばん大事です。
「行かなくていい」と、親が言ってあげてください。
子供は、自分では休めません。親に迷惑をかけると思っているからです。だから、親の口から言う必要があります。その一言が、転校より早く、子供を救います。
3. 弁護士に相談する
意外に思われるかもしれませんが、早い方がいいです。
理由は、訴えるためではありません。学校の対応が変わるからです。
学校は、記録のないものを「なかったこと」として処理します。そして、保護者一人の訴えには動かないことがあります。弁護士が入ると、その扱いが変わります。子供のいじめ問題を扱う弁護士は各地にいますし、法テラスなど費用を抑えられる制度もあります。
相談する前に、記録を集めておいてください。 日付、時間、場所、誰が、何を言ったか。写真、メッセージのスクリーンショット、保健室の記録、病院の診断書。子供に日記を書かせるのではなく、親が聞き取って残します。
記録は、争うためだけのものではありません。持っているだけで、相手の手が止まります。
(※私は弁護士ではありません。具体的な対応は、必ず専門家にご相談ください)
4. 学力が落ちないように、塾と連携する
ここから先が、多くの人が見落とすところです。
休ませる。転校する。それは正しい。でも、その間、勉強は止まります。
そして、いじめから抜け出した子が、次にぶつかる壁がこれです。「安全にはなったけど、勉強が遅れた」。ここで諦めてしまうと、いじめが人生の成績にまで手を伸ばしてくることになります。
だから、休んでいる期間こそ、学習のフォローを入れてください。学校に行かなくても、勉強はできます。オンラインでも、個別指導でも、映像でも構いません。事情を理解して、責めずに伴走してくれるところを選んでください。
学校を休むことと、学びを止めることは、まったく別のことです。
5. より高いレベルの教育を目指す
そして、これが最後です。
転校先で、前と同じレベルを目指す必要は、ありません。
休んでいる間、時間はあります。塾で学力を戻せます。だったら──前より上を目指してください。
これが、いちばん効きます。
いじめから逃げた子が、逃げた先で、前より良い環境に入る。前より良い学校に受かる。前より良い進路に進む。そうなったとき、あの出来事は「傷」ではなく「分岐点」になります。
私は、これを何度も見てきました。学校に行けなくなった子が、その一年で学力を伸ばして、行けるはずのなかった学校に受かる。あとから振り返って、「あのとき離れてよかった」と本人が言う。
いじめを、ステップアップの入口にしてください。
それだけです。
まとめ
- 転校する ── 環境を変える。それが唯一、確実に効く
- 学校を休ませる ── 「行かなくていい」と親が言う
- 弁護士に相談する ── 記録を集めて、早めに
- 塾と連携する ── 学びだけは、止めない
- より上を目指す ── 逃げた先を、前より良い場所にする
環境の改善に期待しないでください。加害者を変えようとしないでください。話し合いで解決しようとしないでください。
離れて、休んで、記録して、学んで、上に行く。
子供にできることは、何もありません。だから、親が動いてください。
相談できるところ
一人で抱えないでください。
- 24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310(24時間・無料)
- 子どもの人権110番(法務省) 0120-007-110(平日8:30〜17:15)
- チャイルドライン 0120-99-7777(16時〜21時)
- お住まいの自治体の教育委員会(転校の相談窓口です)
いま、つらい人へ。学校は、あなたが行かなくてもいい場所です。逃げることは、負けではありません。あなたの安全が、何よりも先です。








