🔐 シンプリラーンで挑んだMITサイバーセキュリティ課程——今までで一番きつかった学び
💰 セキュリティにいくらかけているか——それが、信頼できる企業の見分け方
私がセキュリティを学んで得た、いちばん実用的な視点を、まず最初にお伝えします。その企業が信頼できるかどうかは、セキュリティ対策にいくらかけているかで分かる、ということです。
日本の現実は、こうなっています。IPAの実態調査(全国の中小企業4,191社対象)によると、情報セキュリティ対策に「投資していない」と回答した企業は62.6%。投資している企業でも100万円未満が最多で、100万円を超える投資をしている企業は全体の10%以下です。しかもこの「投資ゼロ」の割合は、2021年度の33.1%から大幅に悪化しています。
一方、被害のほうはどうか。サイバーインシデントが発生した企業の被害額は平均73万円、最大では1億円。復旧には平均5.8日、長い企業では50日以上かかっています。対策を惜しんだ結果、73万円の被害と1週間の業務停止を招く——これが「対策しない」ことの本当のコストです。
本物の対策には、これだけかかる
具体的な相場をお伝えしましょう。企業の入口を守るUTM(統合脅威管理)は、搭載メモリがわずか8GB程度の機器でも約40万円します。IPAの取組事例でも、月額5万円程度でUTMを運用している中小企業が紹介されています。つまり、まともな防御の入口だけで、初期数十万円+月数万円。これが現実の相場です。
だからこそ、月額2万円以下しかかけていない会社は、そもそも土俵に上がれていないのです。
なぜ私がこの世界を学ぶことになったのか
では、なぜ教育者の私が、ここまでセキュリティを語れるのか。話は、プラットフォームとLMSを学び、自らシステムを構築できるようになったところまで遡ります。あのとき、次に向き合うべきテーマは明確でした。セキュリティです。
システムは、作れば終わりではありません。守れなければ、意味がないのです。
調べるほどに、厳しい現実が見えてきました。セキュリティ人材は世界的に大きく不足していると言われています。日本では、ランサムウェア被害の約6割が中小企業に集中し、その一方で約7割の中小企業にはセキュリティ体制がない——つまり、攻撃されても気づけない企業が大半なのです。教育サービスは、生徒さんの個人情報をお預かりする仕事です。この現実を知って、学ばないという選択肢はありませんでした。
私はシンプリラーンのサイバーセキュリティ課程に応募しました。シンプリラーンはMIT(マサチューセッツ工科大学)大学院と提携したプログラムを提供しており、その課程の中でMIT大学院のサイバーセキュリティ・コースを受講できるのです。まず基礎力を固めるところから始め、その過程で奨学生として20万円相当のレッスンを特別に無料で受講させていただく機会にも恵まれました。その支援のおかげで、その後の専門的な授業になんとかついて行くことができたのです。
正直に書きます。セキュリティの世界は、すごく地道で、大変な世界でした。華やかなAIの学びとは対照的に、一つひとつの防御を淡々と積み上げていく。今までのオンライン学習の中で、一番きつい受講でした。
なぜ、セキュリティ人材はいないのか
それだけつらい世界だからこそ、人材が育たないのだと、学びながら実感しました。
セキュリティ専門家は深刻な人手不足で、優秀な人材には1,500万円以上の年収が約束される世界です。当然、小さな会社にそのような人材を雇う余力はありません。外注で頑張るしかないのが実情です。
では、経営者や責任者が自分で学べるか?正直に言えば、かなり難しいと私は考えます。**ハッキング(攻撃)は簡単です。しかし、守ることは本当に大変。攻撃より、守りのほうが数段難しいのです。**攻撃者は一つの穴を見つければ勝ちですが、守る側はすべての穴を塞ぎ続けなければなりません。しかも日本で本格的に学ぼうとすれば、最低でも80万円以上のコースを受講する必要がありますし、それだけでも十分とは言えないでしょう。
だからこそ——「セキュリティを学んだ責任者がいる会社」は、それだけで希少なのです。
当塾のインフラ投資
参考までに、当塾の環境をお話しします。当塾では、メモリ64GBクラスのマシンを3台体制で運用しています。8GBの市販機器が40万円する世界で、その8倍のメモリを積んだマシンを3台。セキュリティの監視・検証からAI学習システムの運用まで、すべてこの自社インフラの上で動いています。さらに、海外の最新セキュリティシステムをオンラインで併用することで、システム全体が多層的に守られる設計になっています。
なぜここまでやるのか。生徒さんとご家庭の情報をお預かりする事業だからです。教育サービスが扱うのは、成績、志望校、学習履歴、ご家庭の情報——外部に漏れれば取り返しのつかないものばかりです。「格安のレンタルサーバーに全部載せて、対策はウイルスソフト1本」という体制と同じ土俵に立つつもりは、最初からありません。
「うちは大丈夫です」の見抜き方
取引先やサービス選びの際、ぜひこう聞いてみてください。「セキュリティ対策には、月々いくらかけていますか?担当者はいますか?」
「うちは大丈夫です」と即答するのに、対策費を聞くと月額2万円以下——これが、危ない会社の典型例です。冒頭で見た通り、入口の機器だけで40万円する世界です。月2万円で守れるはずがありません。悪気はないのかもしれません。しかし投資しない理由の第1位は「必要性を感じていない」(44.3%)。つまり「大丈夫」の根拠は対策ではなく、無自覚なのです。実際、IPAが中小企業1,100社以上に検知機器を設置したところ、18万件を超える不審なアクセスが検知されました。攻撃は来ていないのではなく、見えていないだけです。
人材の面も同じです。前述の通り、専門家を雇える会社はごくわずか。だからこそ「担当者がいるか」「責任者が学んでいるか」という質問一つで、その会社の本気度が分かります。セキュリティ体制が整備されている企業は対策が取引先からの信頼につながったと約6割が実感しているのに対し、各自任せの企業では2割強にとどまります。
大切な情報を預ける相手を選ぶときは、「金額と担当者」を聞いてみてください。答え方で、すべて分かります。
学びの先に
私は半年間、右往左往しながら学び続けた結果、ハッキング対策にはしっかり対応できるようになりました。当塾のオンライン環境が多層的なセキュリティ設計で守られているのは、この学びの直接の成果です。きつかったぶん、学ぶ価値は間違いなくありました。
生徒さんに「大変でも続ければ力になる」と伝える以上、まず私自身がいちばん苦しい学びから逃げない。この受講は、その証明でもあったと思っています。









